2026年09月25日
コラム

FANUCロボットの予防保全|自社保全の秘訣と適切なメンテナンス体制

「FANUCロボットを自社でメンテナンスしたいが、どこまで対応すればよいかわからない」
「保全担当者が不足しており、定期点検まで手が回っていない」
「故障してからメーカーや修理会社へ連絡する状態から抜け出したい」

このような課題を抱えている工場は少なくありません。

産業用ロボットは、生産性向上や省人化を支える重要な設備です。しかし、日々問題なく動いているからといって、内部の部品や機構まで劣化していないとは限りません。

そこで重要になるのが、故障してから修理する「事後保全」ではなく、故障する前に異常の兆候を発見する「予防保全」です。

そして予防保全を継続するうえでは、「全部自社で行う」「全部外部へ任せる」という二者択一にする必要はありません。

自社だからこそできる日常的な点検・記録と、専門会社だからこそできる診断・整備を組み合わせることで、人手不足の工場でも現実的な保全体制を構築できます。

この記事では、FANUCロボットを使用する工場の生産技術担当者、設備保全担当者、工場長の方に向けて、自社保全で実施したいポイント、自社保全の限界、専門会社との役割分担、TECHNO REACHによる支援について解説します。

1.FANUCロボットの自社保全で実施したいポイント

  • 日常点検を自社保全の基本にする
  • 異音・振動・アラームなど「いつもとの違い」を確認する
  • グリス、ケーブル、バッテリーなどの状態を管理する
  • 点検・故障履歴を記録して属人化を防ぐ

FANUCロボットの予防保全では、まず現場で継続できる日常点検の仕組みをつくることが重要です。

自社保全というと、ロボットを分解したり、故障した部品を自分たちで交換したりすることを想像するかもしれません。

しかし、自社保全の第一歩として重要なのは、高度な修理技術を身につけることではありません。

正常な状態を知り、「いつもと違う変化」に早く気付けるようにすることです。

日常点検で「いつもと違う」を見つける

産業用ロボットは高い信頼性を持つ設備ですが、長期間稼働すれば、使用環境や稼働状況に応じて機構部や消耗部品の状態は変化していきます。

例えば、グリスの状態、ケーブル類、バッテリー、冷却系統など、確認しておきたい項目は複数あります。

日常点検では、清掃や外観確認に加えて、 「以前より動作音が大きくなっていないか」 「特定の軸だけ振動が増えていないか」 「同じアラームが繰り返されていないか」 といった変化を見ることがポイントです。

例えば「最近J4軸付近から以前とは違う音がする」という情報だけでも、専門技術者が診断する際の重要な手掛かりになります。

逆に、異常発生後に「いつから症状が出ていたのかわからない」「以前の状態を記録していない」となると、原因を切り分けるために時間がかかる場合があります。

点検結果を記録する

自社保全では、確認するだけで終わらせず、点検結果を残すことも重要です。

ロボットごとに、点検日、担当者、異音・振動の有無、アラーム履歴、実施したメンテナンスなどを記録しておけば、過去との比較ができます。

特に複数台のロボットを保有する工場では、設備番号や機種ごとに保全履歴を管理すると効果的です。

「○○さんの頭の中にしか保全履歴がない」という状態を防ぐことも、立派な予防保全です。

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2.FANUCロボットを自社保全するメリット

  • ロボットの異常を早期発見できる
  • 突発停止のリスクを減らしやすくなる
  • メンテナンスの知識を社内に蓄積できる
  • 外部の専門技術者へ状況を正確に伝えられる

自社保全の最大のメリットは、FANUCロボットの小さな変化を現場自身が把握できることです。

外部の専門技術者が工場へ訪問するのは、定期点検やトラブル発生時など限定されたタイミングです。

一方、現場担当者は毎日設備を見ています。

そのため、 「昨日までとは音が違う」 「以前より振動が増えた」 「最近同じアラームが多い」 といった小さな変化に最初に気付けるのは、多くの場合、現場の担当者です。

突発停止ではなく計画保全へ移行しやすくなる

異常の兆候を早期に把握できれば、完全に故障してから緊急修理するのではなく、生産計画に合わせて点検や整備を行える可能性があります。

例えば長期休暇、休日、生産量の少ない時間帯などに計画的なメンテナンスを実施できれば、突然のライン停止よりも生産への影響を抑えやすくなります。

つまり、

壊れたら直す
↓
変化を見つける
↓
止まる前に計画的に対応する

という保全方法への転換です。

社内に保全ノウハウが残る

点検結果やトラブル履歴を蓄積すれば、「どのような症状が出たときに何を確認したか」という知識が社内へ残ります。

これは技能継承の面でも重要です。

ベテラン設備担当者の経験を点検表や設備カルテへ落とし込むことで、担当者が異動・退職しても保全情報を引き継ぎやすくなります。

自社保全は、単なる修理費削減ではなく「設備について理解できる組織をつくる活動」と考えることが重要です。

【ポイント】予防保全サイクル

 日常点検 → 変化を発見 → 専門診断 → 計画メンテナンス → 突発停止回避 → 安定稼働 → 日常点検

3.すべてを自社対応することが難しい理由

  • FANUCロボットの保全には専門的な知識が必要
  • 「異常発見」と「原因診断」は必要な能力が異なる
  • 専門人材を育成する時間とコストが必要
  • 特定担当者への属人化が起こりやすい

自社保全は重要ですが、「すべてを自社で対応すること」が必ずしも最適とは限りません。

日常点検で異音を発見することと、その異音がどこから発生しているのかを正確に判断することは別の技術だからです。

点検と原因診断では必要な技術が異なる

例えば現場担当者が「J4軸付近から異音がする」と気付くことはできます。

しかし、その原因がグリスの状態によるものなのか、減速機なのか、モーターなのか、それとも別の要因なのかを判断するには、ロボットの構造や制御に関する知識、さらに多くの現場経験が必要になります。

FANUCでも、ロボットを自社で点検・保守する人を対象とした保守教育を設け、定期点検、データ保存、マスタリング、モータ交換、障害追跡など幅広い内容を扱っています。

これは言い換えれば、ロボット保全には、適切な教育と知識、技能が必要であるということです。

人手不足の中で保全専門家を育てることは簡単ではない

製造現場では、設備保全担当者がロボットだけを担当しているとは限りません。

工作機械、PLC、コンベヤ、センサ、画像処理設備、空圧機器など、多数の設備を少人数で管理している工場もあります。

その状態で高度なロボットメンテナンスまで完全内製化しようとすると、教育時間や作業時間が増加し、本来行うべき設備管理や改善業務を圧迫する可能性があります。

「ロボットは○○さんしか触れない」が新たなリスクになる

高度な保全技術を一人だけが身につけた結果、「○○さんがいなければロボットを復旧できない」という状況になるケースもあります。

自社保全を進めた結果、別の属人化を生み出してしまっては本末転倒です。

自社保全の目的は、すべての修理を自社で完結することではありません。

限られた人員で設備を安定して稼働させることこそ、本来の目的です。

【ポイント】完全内製化で発生しやすい5つの課題

 専門知識/教育時間/人員不足/属人化/診断力

4.自社保全と専門会社への切り分け方

  • 日常的な確認は自社で実施する
  • 高度な診断・整備は専門会社を活用する
  • 「異常発見」と「原因特定」を分けて考える
  • 丸投げでも完全内製でもない保全体制をつくる

現実的な予防保全は、「自社で行う保全」と「専門会社へ依頼する保全」を明確に分けるところから始まります。

ポイントは、自社に「異常を発見する力」を残し、専門会社の「原因を診断して適切に処置する力」を活用することです。

保全項目 自社保全 専門会社
日常清掃 ◎ -
外観確認 ◎ 必要に応じて相談
異音・振動の確認 ◎ 異常時の診断
アラーム履歴の記録 ◎ 原因調査
定期整備 技能・教育状況による ◎
消耗品交換 作業内容による ◎
故障原因の診断 一次確認 ◎
修理・復旧 技能・安全体制による ◎

※実際に自社対応できる範囲は、ロボットの機種、メーカー指定事項、設備構成、作業者の教育・技能、安全管理体制などに応じて判断してください。

「異常を見つける」と「原因を直す」を分ける

例えば、現場では「同じアラームが増えている」と記録する。

その情報を専門会社へ伝え、専門技術者が原因を調査する。

必要に応じて計画的な整備・部品交換を行う。

このような役割分担であれば、現場担当者がロボット修理の専門家になる必要はありません。

一方で、自社にも設備状態を把握する能力が残るため、保全を完全に外部へ丸投げする状態にもなりません。

「自分たちで守れる部分は守る。専門性が必要なところは専門家を使う」。これが継続しやすい自社保全です。

【ポイント】自社保全と専門保全の役割分担

 <自社保全>
 清掃/外観確認/異音・振動/アラーム記録/点検履歴

       ▼ 異常・変化を発見

 <専門会社>
 状態診断/定期整備/部品交換/原因調査/修理対応

5.TECHNO REACHが貴社の自社保全を支援

  • 自社保全を「奪う」のではなく支援する
  • 専門性が必要なメンテナンスを補完する
  • FANUCロボットの状態確認やメンテナンスに対応する
  • 人手不足でも継続できる保全体制づくりを支援する

TECHNO REACHが目指すのは、貴社の自社保全のプラスαの補完です。

自社で継続できる日常点検は自社で実施し、自社だけでは難しい専門領域をTECHNO REACHが補完する。

そのような協働型の保全体制を構築することで、設備担当者へ過度な負担をかけず、FANUCロボットの安定稼働を支援します。

FANUCロボットの状態確認・メンテナンスを支援

TECHNO REACHでは、産業用ロボットの修理・メンテナンスを長年行っており、FANUC製ロボットについても、点検やグリス交換、ティーチングなどの対応実績があります。

日常点検の中で、 「以前とは違う音がする」 「動作に少し違和感がある」 「同じアラームが増えてきた」 と感じた段階で相談することで、設備が完全に停止する前に対応策を検討しやすくなります。

▶点検・グリス交換・メンテナンス事例はこちら

 

ロボット単体ではなく設備全体を考えられる

ロボット設備のトラブル原因は、必ずしもロボット本体にあるとは限りません。

ハンド、治具、センサ、PLC、コンベヤ、画像処理機器、安全機器など、周辺設備が原因になっているケースも考えられます。

TECHNO REACHは、ロボットのメンテナンスだけでなく、自動化システムの設計・製作、ティーチング、修理、教育など、産業用ロボットに関するトータルサービスを展開しています。

そのため、「ロボットが悪いのか、周辺設備が悪いのかわからない」という段階から相談できることも強みです。

保全履歴を蓄積することも重要

保全を継続的に改善するためには、設備の履歴を残すことが欠かせません。

「いつ、どのロボットに、どのような症状があり、どのような対応をしたのか」を蓄積していけば、次に同様の症状が発生した際の判断材料になります。

設備台数が増えるほど、こうした履歴管理の価値は高まります。

自社でできることは自社で。
専門性が必要な部分はTECHNO REACHへ。

この役割分担が、人手不足時代における現実的なロボット保全の形です。

FANUCロボットの保全で、このようなお悩みはありませんか?

・保全できる担当者が不足している
・どこまで自社対応すればよいかわからない
・異音や振動があるが原因を判断できない
・同じアラームが繰り返し発生する
・定期メンテナンスの進め方がわからない
・古いFANUCロボットを今後どうするか迷っている

設備が停止してからではなく、正常に稼働している段階からご相談ください。

FANUCロボットの保全について相談する

FANUCロボットの自社保全でよくある失敗

故障してから対応すればよいと考える

現在問題なく動いていても、将来の故障リスクがないとは限りません。

「今まで壊れていないから大丈夫」と考えるのではなく、点検履歴や過去のメンテナンス状況を確認しましょう。

担当者の感覚だけに頼る

ベテラン担当者が「音を聞けばわかる」という工場もあります。

経験は重要ですが、その判断基準が本人の頭の中だけにあると、技能継承ができません。

異常の内容や判断結果を記録し、若手担当者にも共有できる形へ変えることが大切です。

すべてを自社対応しようとする

外注費を減らすために保全作業を完全内製化した結果、担当者の負担が大きくなったり、手が回らず十分な診断ができなかったりするケースも考えられます。

自社保全の成功指標は「外注費ゼロ」ではなく、「設備を安定稼働させられているか」です。

設備が止まってから相談先を探す

設備が停止している状態では、生産現場に余裕がありません。

そのタイミングで修理会社を探し、設備仕様を説明し、対応可否を確認していると、復旧までさらに時間がかかります。

設備が正常に稼働しているうちに相談できる専門会社を決めておくことも、予防保全の一部と考えましょう。

6.FANUCロボットの予防保全に関するFAQ

Q.自社保全ではどこまで対応すればよいですか?

A.まずは日常的に継続できる点検から始めることをおすすめします。

清掃、外観確認、異音・振動の確認、アラーム履歴の記録、保全履歴管理など、自社で無理なく継続できる項目を明確にしましょう。

専門的な知識・技能や安全管理が必要な作業まで無理に内製化する必要はありません。対象機種や作業内容に応じて、専門会社との役割分担を検討してください。

Q.保全担当者が不足しています。それでも予防保全はできますか?

A.可能です。

すべてのメンテナンスを自社で行うのではなく、日常確認を自社、専門的な定期点検・診断・整備を外部へ切り分けることで、担当者の負担を抑えながら保全を継続できます。

Q.FANUCロボットはグリス交換やバッテリー交換が必要ですか?

A.必要となる保全内容は機種や世代によって異なります。

FANUCの保守教育ではグリス交換や電池交換などが予防保全項目として扱われていますが、近年の一部機種では保守負担を大幅に低減したモデルも登場しています。

必ず使用しているロボットの機種・仕様に対応するメーカー資料を確認してください。

Q.古いFANUCロボットでも相談できますか?

A.まずは機種、年式、現在の状態、故障・保全履歴などをご相談ください。

使用を継続するのか、部品交換や整備を行うのか、あるいは新規・中古ロボットへの更新を検討するのかなど、生産継続を前提に選択肢を整理することが重要です。

Q.メーカーの保守サービスを利用していてもTECHNO REACHへ相談できますか?

A.メーカー保守を利用している場合でも、自社の保全体制や設備全体について別の専門会社へ相談するという考え方があります。

メーカーと専門会社を二者択一にするのではなく、必要な技術・対応内容に応じて適切な相談先を使い分けることが重要です。

Q.TECHNO REACHの対応エリアはどこまでですか?

A.TECHNO REACHは、愛知県・静岡県・埼玉県・宮城県・広島県の計8か所に拠点を構え、各拠点から幅広いエリアの製造現場をサポートしています。

対応エリアや訪問可否については、工場の所在地やロボットの機種・台数、メンテナンス内容によって異なりますので、まずはお気軽にご相談ください。

▶拠点一覧はこちら

 

7.人手不足を理由にメンテナンスを先送りしない

  • 「人がいないから保全できない」こと自体がリスクになる
  • 突発故障はさらに多くの人員を奪う
  • 完全内製ではなく外部の専門技術を活用する
  • まず現在のロボットの状態を把握する

人手不足の工場ほど、メンテナンスを先送りしない仕組みづくりが必要です。

「生産を止められない」 「設備担当者が足りない」 「保全まで手が回らない」

こうした理由でメンテナンスが後回しになっている工場もあるでしょう。

しかし、ロボットが突然停止すれば、さらに多くの人員と時間が必要になります。

修理担当者だけでなく、生産管理、生産技術、品質管理、営業などが、生産計画変更、納期調整、代替生産といった対応に追われる可能性があります。

つまり、人手不足だから保全をしないのではなく、人手不足だからこそ「少ない人数でも継続できる保全方法」へ変える必要があります。

そのために有効なのが、 「日常的に見られる部分は自社」 「専門的な診断・整備は専門会社」 という役割分担です。

現場担当者がすべての故障を直せる技術者になる必要はありません。

異常に気付き、記録し、適切なタイミングで専門家へつなぐ。

この仕組みができるだけでも、自社保全は大きく前進します。

「自社保全したい。でも、人も技術も足りない」をTECHNO REACHが支援します

自社保全か、外注か。二者択一で考える必要はありません。

TECHNO REACHは、貴社が自社で実施している日常保全を活かしながら、専門知識・技術が必要な領域を補完します。

FANUCロボットの異音や振動が気になる、同じアラームが繰り返される、いつメンテナンスしたかわからない、保全担当者が不足している。

そのような状態であれば、設備が完全に停止する前に一度保全体制を見直してみてください。

FANUCロボットを
「壊れてから直す設備」から、
「計画的に守り、長く安定稼働させる設備」へ。

まずは現在使用しているロボットの機種、台数、稼働年数、メンテナンス履歴、気になっている症状などをお聞かせください。

FANUCロボットの予防保全を見直しませんか?

「どこまで自社保全すべきかわからない」
「点検する人材が不足している」
「故障する前に状態を確認しておきたい」

そのようなお悩みをTECHNO REACHへご相談ください。

FANUCロボットのメンテナンスについて相談する