産業用ロボットの安全対策とは
目次
1.産業用ロボットの危険性
2.産業用ロボットを運用する際の安全対策
3.まとめ
1.産業用ロボットの危険性
産業用ロボットは安定した品質の生産には必須ともいえますが、適切な安全管理を行わなければ、重大な労働災害の原因となってしまいます。
具体的にどのような危険性が潜んでいるのかをご説明します。
1.ロボット本体への衝突・挟まれによる危険
1. 産業用ロボットは機種によっては4000mm/sec以上で動作する為、衝突時は大きな衝撃となります。
1. この為、もしロボットの動作範囲内に作業者がいた場合、人間の反応速度では到底回避することができず、重大な労働災害に繋がります。
1. 又、ロボットによっては人間の腕に近い機械構造をしている為、関節部が多く、挟まれが起きやすい構造となります。
2.プログラムの作成ミスや誤操作による危険
1.ロボットはオペレータが作成したプログラムの命令通りに動作をする機械です。その為、プログラムの構成に誤りがあっても
1.誤操作をしてしまったとしても、忠実にその通りに動作をします。その為、思わぬ動作となりロボットとの衝突等の労働災害に繋がります。
3.電磁ノイズ等による予期せぬ故障の危険性
1.産業用ロボットの動力として最も多く活用されているのは電気ですが、その為、電磁ノイズの影響を受けることがあります。
1.電磁ノイズの影響を受けた場合は、ロボットメーカーも想定しないような故障の仕方をすることもある為、
1.ロボット本体の暴走等が発生することも考えられます。
これらの危険性を理解し、適切な安全対策を講じることが、産業用ロボットの安全な運用に不可欠です。
2.産業用ロボットを運用する際の安全対策
上述のような危険性が潜んでいる産業用ロボットに対して必要な安全対策は、法令でも多々定められておりますが、
一般的に挙げられる主要な安全対策は以下の通りとなります。
1.柵又は囲いの設置
1. 産業用ロボットの動作範囲をガードで囲むことで、人とロボットの作業領域を分けることで人が誤って危険なエリアに入らないようにします。
1.又、進入用扉はインターロック付きとし、人が中にいる時には電気的にロボットが起動しないような仕組みとする必要があります。
2.非常停止装置
2. 非常時にロボットを即座に停止させることができるボタンを設置します。非常停止ボタンは赤色大きのこ型で地色は黄色とし、
2. 操作しやすい場所に設置し、誰でも迅速にアクセスできるようにする必要があります。
3.保護装置の設置
3. 作業者がロボットの動作範囲内に入っている・近づこうとしていることを検知するためのセンサーを導入し、
3.ロボットへの接触や衝突のリスクを回避します。ライトカーテン・マットスイッチ・レーザースキャナー等を活用することが一般的です。
4.速度と力の制限
4.ロボットの動作速度や力を制限することで、人との接触時のリスクを軽減します。
4.ISO 10218やISO/TS 15066などの規格に準拠した設定を行うことが重要で、特に教示作業中は250mm/sec以下にて作業することが
4.法令で定められています。
5.安全教育の実施
4.ロボットを取り扱う作業者に対して、法令上で定められた特別教育の実施や
4.作業規定の徹底・緊急時の対応についての徹底し、危険作業を回避することが重要です。
3.まとめ
産業用ロボットを運用する上では、法令上の決まりを理解し、それにそった安全対策を実施することが重要となります。
法令で多々、安全対策の実施が定められているにも関わらず、産業用ロボットによる労働災害の発生が増加しつつあることが問題となっており、
実際に過去以下の件数が発生しております。
平成22年 : 24件
平成25年 : 15件
平成28年 : 32件
その為、法令の遵守はもちろんのこと、ロボットシステムごとの安全対策を検討し、都度追加していくことが重要となります。
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