2025年05月19日
コラム

溶接作業 自動化の課題とその解決法とは?

 

 

目次

1. 溶接作業自動化のメリット

2. 溶接作業自動化の課題とその解決方法

3. 溶接作業を自動化する際のポイント

4. 溶接作業自動化 事例紹介

 

1. 溶接作業自動化のメリット


 

近年、製造業様において人手不足が深刻化しておりますが、その中でも特に「 溶接工 」が著しく減少しております。

それが製品品質の低下・製品供給の不安定につながり頭を悩ませている方も少なくありません。

そこで今、改めて溶接ロボットが注目され導入が進んでおります。

今回はそんな溶接作業の自動化について、まずはメリットをご説明したいと思います。

 

メリット 

1.品質の安定と向上

熟練の溶接工であっても手作業である以上、その日の体調やメンタル、溶接工法の得手不得手によって

品質にばらつきが出てしまうことは少なくありません。

しかし溶接ロボットは常に一定の条件で溶接を行うため、手作業によるばらつきがなく、安定した高品質な溶接が可能です。

また高度な溶接・波形制御により、手作業では難しい溶接も実現できます。

 

2.生産性の向上

熟練の溶接工であっても人での作業となり、上記のように品質だけでなく、生産数も安定しないことがあります。

しかし溶接ロボットは、誰がボタンを押しても常に同じ品質・速度で溶接を行うため、生産数が安定します。

さらに場合によっては溶接工よりも早い溶接速度での生産が可能となり、大幅な生産性向上が期待できます。

また、不良品の発生を抑制し、手直し作業の減少にもつながります。

 

3.作業環境の改善と安全性向上

溶接作業は溶接熱・スパッタ・ヒューム等が発生するため、危険作業に該当します。

そのため、保護具の着用や換気などを十分に行う必要があります。

溶接ロボットによる自動化を行った場合、

溶接時に発生するヒュームやスパッタ、アーク光などを作業者から遮断することができるようになり、

より安全で快適な作業環境を実現できます。

これにより社員満足度の向上や離職率の低下につながります。

 

 

 

 

2. 溶接作業自動化の課題とその解決方法


 

上述で溶接作業自動化のメリットはお伝えいたしましたが、反対にデメリット、課題ともいえる部分について

ご紹介させていただきます。

溶接作業自動化の課題

1.導入・運用コスト

溶接作業の自動化を行うために必要な初期投資は、溶接ロボットの購入費用・溶接治具の購入費用・周辺設備の購入費用等があります。

構築内容にもよりますが、一般的に1500万~2000万程度になることが多いため、

導入時の初期コストは一定の負担となります。また、導入後はメンテナンスや消耗部品などのランニングコストも必要となります。

 

2.多品種小ロット生産の効率は手作業に比べ劣る

溶接ロボットを含む産業用ロボットは、ティーチングで作成された動き通りの決められた動作しかできませんので

決まった部品の大量生産に向いていると言えます。しかし、近年増加している多品種小ロットに関しては、

「 ワークごとに治具を製作する必要がある 」「 生産するワークが変わるたびに段替え作業が発生する 」といったデメリットがあるため、

手作業に比べ汎用性に劣ると言えます。

 

3.基礎知識の習得と専任者の必要性

溶接ロボットは産業用ロボットの中でも比較的取り扱いがしやすい構造となっておりますが、

それでも運用においては、ロボットについての基礎知識の習得が必要です。

さらに取り扱いにおいては専任者を立て、導入後のティーチングや日常メンテナンス等を

自社対応していくことが必要となります。

 

 

 

これらのデメリットは溶接ロボットの導入が広まりだした頃から挙げられていることから

近年問題になっていることまで様々ですが、どれも解決策がないわけではありません。

以下に各デメリット・課題ごとの対策をご紹介させていただきます。

 

課題への対策

1.「 導入・運用コスト 」対策:補助金の活用

近年では自動化導入に活用できる補助金制度が豊富になってきております。

そのような補助金を活用すれば、投資金額の2分の1~3分の2程度抑えることできますので、

例えば3,000万円の投資が必要な自動化設備であっても、自己負担金は1,500万円に抑えることが可能です。

補助金の具体例を挙げますと、「 ものづくり補助金 」、「 中小企業省力化投資補助金 」、「 事業再構築補助金 」等がございますので、

いずれもうまく活用して、効率的な生産体制を構築することが重要です。

ただ補助金は自己負担額を軽減させるために有効な手段ではありますが、

「 申請が手間・どうすればいいかわからない 」といった方も多くお見えかと思います。

そこで最近では完全成果報酬型の補助金コンサルタントに委託することもでき、実質的な業務負担0で補助金の活用が可能になっております。

 

2.「 多品種小ロット生産 」対策:協働ロボットの活用

必要な安全対策を行った協働ロボットは人と隣り合っての協働作業を実現できるため、

「 溶接作業はロボット・生産品の切り替えは人 」と切り分けた作業を、近い作業領域の中で実施できるため

従来の手間と時間のかかる大掛かりな段替え作業が不要になり、多品種小ロット生産において力を発揮することができます。

もともと産業用ロボットは大量生産への対応を目的とし製造されている為、多品種小ロットへの対応は難しいとされておりましたが、

協働ロボットの登場によって状況は大きく変わってきております。

 

3.「 基礎知識の習得と専任者 」対策:ユーザビリティーの向上

「 産業用ロボットのプログラム作成・修正 」と聞くと、難しい・とっつきにくいというイメージを持たれがちですが

インターフェースがかなり進化しており、「 ロボットに詳しくない方でも直観的に作業できる 」ような

ユーザビリティーの高いものも増えてきております。

実際に1日操作講習を受講しただけで、プログラム修正ができるようになったという方も少なくありません。

さらにテキストの作業マニュアルだけでなく、動画での作業マニュアルが用意されているメーカーもありますので、

知識の習得はしやすい環境となってきております。

 

 

 

 

3. 溶接作業を自動化する際のポイント


 

上述の通り、溶接作業の自動化は大きなメリットもありますが、デメリット・課題もありますので、

それらを正しく理解して導入を検討する必要があります。以下に検討に必要なポイントをご紹介いたします。

 

ポイント1.「 導入目的を明確にし、自動化することが目的とならないようにする 」

自動化を検討を進めていくにあたってよくある間違いが「 当初の目的を忘れ、自動化すること自体が目的になっている 」ことです。

当初は「 人員削減による生産効率向上 」「 作業者の危険作業回避 」「 生産品質向上・安定 」といった目的で検討が始まりますが、

検討を重ねていくにあたり、実現可能性・導入コストなどの問題により、「 その範囲の中でできる自動化を行う 」ことが目的にすり替わります。

そうすると本当の目的が一つも達成されず自動化失敗となってしまいます。

導入目的を忘れることなく検討を進め、妥協してもよいポイントか否かを正しく判断し、導入可否を検討することが重要です。

 

ポイント2.「 運用に携わる可能性のある方に多数の意見を聞く 」

自動化システムは導入がゴールではなくスタートです。導入してから正しく想定通りに運用する必要があります。

しかし数名の意見しか取り入れず、導入を進めてしまうと実際の運用において「 実際の製造ラインにはそぐわないシステム 」となり、

運用がままならないというケースもあります。

できるだけ多くの運用に携わる可能性のある方に意見をヒアリングし、運用面において想定通りとなるのか否かを判断する必要があります。

 

ポイント3.「 システム製作会社のアフターサポートが充実しているか確認する 」

溶接作業自動化システムは、完全に自社運用に至るまでにシステム製作会社に問い合わせすることが多くあります。

その際に小規模の事業者ですと、「 他の案件に手掛かっている為、忙しくて対応ができない 」「 詳しいことはロボットメーカーに 」などと

対応してもらえないケースもあります。

正しい運用を行うためにはシステム製作会社がアフターサポートをしっかり行ってくれるのかが重要です。

 

4. まとめ


 

溶接作業の自動化は40年以上前から行われている為、技術が確立しているように思われますが、

新しい溶接工法・技術・製品によって都度進化しております。さらにアーク溶接は専門知識が必要になりますので、

ロボットシステム製作の知識だけあるだけでは不十分です。

アーク溶接の知識・理解・経験とロボットシステムの知識・理解・経験が必須となります。

いずれも併せ持ちながら、アフターサポートも柔軟に対応できる企業に依頼することが成功の秘訣となります。

 

弊社はアーク溶接を主として、自動化システム製作からティーチング、修理・メンテナンス、中古売買まで

アーク溶接自動化システムのすべてを自社一貫対応することができます。30年以上の確かな実績と経験を基に最適なご提案をさせていただきます。

アーク溶接作業の自動化を検討されている方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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