2023年07月31日
コラム

アーク溶接ロボットの困りごととその解決法

 

 

 

 

目次

1. 産業用ロボットによるアーク溶接の自動化でよくある困りごと

2. 今すぐ実践すべき対策とは

3. エアブローユニットのメリット

4. まとめ

 

1. 産業用ロボットによるアーク溶接の自動化でよくある困りごと


 

まずは産業用ロボットによるアーク溶接工程の自動化において導入後、ユーザー様がよく仰る困りごとはをご紹介致します。

 

お困りごと1. ノズルにスパッタが付着しそのまま溶接を行ってしまい、溶接が安定せず不良発生率が高くなる。

ロボットによる自動溶接は1日に何十、何百と稼働することが多く、これだけ稼働していると

必ずと言ってよいほど、溶接ノズルにスパッタといわれる溶接時に飛び散って固まる金属の粒が付着してしまいます。

その影響で溶接品質を安定させるためのシールドガスの経路が塞がってしまい、溶接ビード外観の不良等に繋がります。

 

お困りごと2. 溶接チップの消耗によって溶接品質が安定しない。交換頻度も高く手間がかかる。

溶接チップは一般的にワイヤのメッキカスが詰まってワイヤーの出が悪くなっているもしくは、

ワイヤーの通り穴が楕円状に変形してしまって、ワイヤーブレが発生していると交換時期だといわれています。

産業用ロボットでのアーク溶接の場合でも同様で、定期的に交換が必要なのですが、

高速溶接を行っていたり、ワイヤを出し入れしてスパッタを減らす溶接工法を活用していると

消耗がはやくなり、チップの交換頻度が高くなることがあります。

 

 

ロボットによるアーク溶接作業においてワイヤ送給は命ともいわれるほど重要なものです。

ただ上記のようなワイヤ送給経路部には、コンタクトチップ、ノズル、フィードローラー等の様々な消耗部品が活用されている為、

それらが劣化した状態のまま溶接を行った場合、溶接品質に悪影響を及ぼし不良品を生産することとなってしまいます。

その為、アーク溶接ロボットによる溶接品質を安定させる為には、ワイヤ送給経路部の消耗部品の管理が特に重要となります。

 

 

 

 

 

 

2. 今すぐ実践すべき対策とは


 

ここからは前述のお困りごとを解決する為に実践すべき対策をご紹介していきたいと思います。

 

対策1.アーク溶接ロボットシステムに生産カウンターを設け、一定数生産ごとに消耗部品を交換する

ほとんどのメーカーのロボットは、プログラム終了の信号を汎用外部出力(OUT信号)にて発信することができます。

これを活用して、例えば溶接プログラムを一定数終了した際にロボットが自動でチップ交換を行うもしくは

チップ交換用の姿勢で待機して作業者様にてチップ交換を行うといった仕組みにしておくことで、

消耗部品が劣化している状態での生産を防ぐことができ、生産品質の安定に繋がります。

 

 

対策2.日常点検シートを作成し、定期的な保守を行う

溶接ロボットは大きく分けると、ロボット本体・制御装置・溶接電源・ワイヤ送給装置・トーチケーブルなどの送給経路といった構成になりますが、

その全てで特定の周期ごとに実施すべき点検・メンテナンスがあります。

例を挙げますと

 

毎日:外装の汚れ・損傷の有無確認

各軸のグリス漏れ確認

送給装置のごみ・スパッタの付着有無確認・清掃、消耗度確認・交換

各ケーブルの外装・損傷確認

1週間毎:トーチケーブル内のメッキカス・ごみの清掃

制御装置・溶接機ファンの動作確認・清掃

毎月:マニュピレータの固定ボルト増し締め確認

各種カバー用ボルトの締結確認

キャノンコネクタの締結確認

3か月毎:パワーケーブルの導通確認

ワイヤ送給装置のグリス給脂

ワイヤ送給装置のベルト張力確認

 

等となります。

これらの内容はメーカー・仕様によって異なりますが、どの内容も実施しておけば、ロボットが常に一定の良好な状態で生産を行うことができ、

不良部品発生増加のリスクを低減させることができます。

その為、定期的に実施できているのか確認する為に日常点検表等を作成し管理を行うことで、品質の安定した生産を行うことができます。

 

 

対策3.オプション機器によって消耗率を低減させる

消耗部品の管理は前述の2つの対策によって行うことができるものの、その交換作業かかる工数や部品費用自体はそれで低減できるわけではありません。

ではどのような対策があるかと申しますと、消耗部品の消耗率を低減させる方法です。

これはコンタクトチップ限定の対策になりますが、消耗が加速する要因の一つとして溶接熱の影響が挙げられますので、

コンタクトチップをエアーなどによって強制冷却させることで消耗率を抑えることができます。

例えば、通常シールドガスが通る経路にエアーを供給する機能をつけるようなオプションをつけることで、

コンタクトチップを強制空冷することが可能となり、消耗率を低減させることが可能となり、交換工数の削減・生産効率の向上に繋がります。

このようなオプションを弊社では「 エアブローユニット 」という商品名で販売しております。続いてでこの製品についてご紹介させて頂きたいと思います。

 

 

 

 

3. エアブローユニットのメリット


 

エアブローユニットは上述にもある通り、エアーを任意のタイミングで排出できるようになるオプションですので、

取り付けることで以下のようなメリットがあります。

 

メリット1.エアーの圧力でノズルに付着したスパッタ付着低減&除去! = 溶接品質安定

シールドガスを流す経路と同様の経路(ノズルの先端)で、任意のタイミングでエアーを流すことが可能となる為、

ノズルへのスパッタ付着率の軽減と除去が期待でき、シールドガスの流量が安定することで溶接品質の安定に繋がります。

 

メリット2.溶接チップ・ノズルの冷却で消耗率低減! = 交換工数や購入コストの低減!

アーク溶接で高温になった溶接チップやノズルにエアーを流すことにより、冷却効果が期待でき、

通常よりも消耗率を低減させることが可能となります。

これにより、交換頻度が減少する為、交換工数の削減と消耗部品購入コストの減少に繋がります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. まとめ


 

ロボットシステムの活用は労働人口の減少が続いていくことからも、これからの製造業において必須条件と言っても過言ではありません。

しかし実際にロボットシステムの導入は進んでいるものの「 導入したはいいけど思ったように生産できなくて倉庫で眠っている 」という

ユーザー様もいらっしゃるのが現状です。

せっかく多くの時間と費用を投資して、導入したシステムがそうならない為にも、上述の事例やポイントを参考にしていただければ幸いです。

特にロボットシステム導入においては事前検証は必須だと捉えていただき、

もしシステム製作を外注する場合には3Dシミュレーションソフトを活用して事前検証を行ってもらえるのかという点も

依頼する際の確認ポイントにして頂きたいと思います。

 

産業用ロボットを取り扱って40年以上の弊社 松栄テクノサービスでは、3Dシミュレーションソフトを活用した事前検証のみも行っております

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依頼する設備屋がロボットには慣れていなくてその周辺だけ依頼したい 」といったお悩みも対応させて頂きます。

まずは無料相談だけでも承りますので、お気軽にお問合せ下さい。

 

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